オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~

「逢坂先輩はどう思いますか?」

「向居先輩と同期の方の見解も、ぜひ…!」

「そう…ね…私も同感…。向居には本命の彼女、いると思うよ…」


ここで無謀に否定してもさらに詳細なリサーチのもと激しい反論を受けてさらに冷や汗をかかされることは目に見えていた。もう全面肯定だ。完敗よ君たち。お願いだから、その能力ちゃんと仕事にも生かしてね…。

なおもかしましい二人の会話を聞きながら、私は乾き始めたツナサンドを再びかじった。
塩気たっぷりのツナの味も感じないほどに、私は動揺していた。
やばい、やばい。
柊介の態度といい、周りのこの洞察力と言い、バレるのはもう時間の問題のような気がしてきた。
いつかはと覚悟はしなきゃとは思っているけれど、今はまだ…。

じゃあ…、いつならいいんだろう。

自問に答えが出せなくて、私は胸にもやつきを覚えた。
またこれだ。
私の悪いところが、また出てきた。
今度だけは、柊介とだけは、同じことは繰り返したくない。
繰り返してはいけない。


「逢坂先輩」

「え?」


物思いにふけっていた私を呼ぶ後輩の目が、私の手元に注がれた。
着信が鳴っていた。


「ごめん、ちょっと失礼するね…」


その送信元を見るなり私は席を立って急いで離れると、通話ボタンをタップした。