オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~

「き…気のせいじゃないの…? 向居、恋愛に興味なさそうじゃない。だって女はとっかえひっかえ、ってもっぱらの噂なんでしょ?」

「いえ、それは本命に縁がなかったからです。だって 向居先輩、前言ってましたもん、『俺は本命に縁がないからな』って」


ちょ、いつ聞いたんだ。
このコ…柊介がやっと私に漏らしたことをさらりと聞き出しているなんて…侮れないわ。
背後を盗られないよう気を付けておかないと…と私が仕事モードで警戒していると、


「私もその憶測には同感です」


と、横で黙って聞いていたもう一人の後輩も、真剣な面持ちで頷いた。


「だって、今日気付いた? 向居先輩の香り」

「あー! 気付いた!」

「へ!? 香りってなに!?」


私は戦慄すら覚える。もーう、なにこの子たちの洞察力!


「えー? 逢坂先輩気付きませんでした?? 今日、向居先輩から女性物のいい香りがしてきたんです!」

「ローズですよ逢坂先輩。お高めのローズの香り。あれは絶対付き合っている女性のものです」


ば…! 柊介ってば今朝急いでて間違えて私のボディーソープを使ったわね…!


「もちろん、単に一夜だけの関係である女性の物、という線も考えられます。でもそれだけなら普段の雰囲気の変化の説明がつきません。この二点から、向居先輩には本命の彼女がいることは間違いありません」

「しかもその変化がつい最近からであることを考えると、その女性とはまだ付き合いたて…二、三か月目、という所でしょうか。超ハッピー時期のど真ん中です」

『まちがいない!』


力強くユニゾンした二人に「そうなんだ…」と私はひきつった笑顔を浮かべる。