オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~

「ここ、あいてるわよ! 一緒に食べない?」


「え…」と遠慮がちに顔を見合わせる二人。


「でも…お二人のお邪魔じゃないですか…?」


邪魔ってなに!? 全然そんなことないわよ、遠慮しなくていいのよぉお…! と焦る内心をひた隠して私は涼しげな笑顔を浮かべる。


「大丈夫よ、向居との打ち合わせは今終わったところだから」

「ああ」と向居も合わせて頷いて、おいでおいでと二人に手招きする。


「一緒してやってくれよ。軍師様ときたら、ランチ中も仕事しているんだからな」


二人がおずおずと近付いてくると、「じゃあな」と言い残して柊介が去っていく。


「あーん、いつ見てもかっこいい! 向居先輩っ」

「おいでおいで、されちゃったぁあ! 胸キュン…」


後輩たちはほわぁんとその背中を見送ると、きゃっきゃと喜び合った。


「それにしても、最近の逢坂先輩と向居先輩って、すーっごい仲良くなりましたよね!」

「私もそう思います! 今もまるでカップルみたいでしたよぉ」


と思ったら、二人の関心が急に私に向けられた。
「そ、そうかしら?」と冷や汗が噴き出してくるのを感じながら、私は引き続き涼しげに笑う。


「向居が最近やたらと絡んでくるようになっただけじゃない?」

「絡むのは今までもしてたじゃないですか。そのたびに逢坂先輩が冷たくあしらっていたというか」

「そうそう。あの向居先輩を無下にあしらう人なんて、逢坂先輩くらいでしたよ」

「でもそんなお二人のやりとりが、私たちにはすっごくカッコよくみえたんですけどね」

「うんうん、お二人は私たち後輩の憧れなんですよぉお」


連係プレイでの畳みかけに作り笑いもひきつってくる。咄嗟の判断でランチに誘った短慮を反省し始めた私に、二人はさらに無邪気に追い打ちをかけてきた。