「基樹…」
私は思わず基樹に呼びかける。けれども、返ってきたのは憎しみがこもった睥睨だけで、私は言葉を失う。
いや、私が基樹に言える言葉など、もう一つも無かった。
「本社から支店窓口に飛ばされて、頑張る機会すら奪われちまった俺の気持ち、考えたことあったか? いやないよな、自分のことに手一杯で、俺のことなんか見向きもしなかったもんな」
「そんなこと…」
「いや、あったよな…。蔑みだけはあっただろ? 同じスタートだったのに出来損ないってな」
「思ってない…! そんな気持ち、私は」
「ないなんて言わせねぇからな! 俺はとうの前から気付いてたんだよ。お前がそうやって俺を見放していたことを…。俺は、心底お前が羨ましかった…。好きな仕事で成功して輝いているお前が心底妬ましかった…。そして…虫唾が走るくらい、大っ嫌いだった」
向居が基樹の胸倉をつかんだ。
今にも殴りつけようとする向居に、私は思わず悲鳴に近い声をあげる。
その声に我に返るように、向居は肩から怒りを抜き、静かに、けれども凄みのある声で言った。
私は思わず基樹に呼びかける。けれども、返ってきたのは憎しみがこもった睥睨だけで、私は言葉を失う。
いや、私が基樹に言える言葉など、もう一つも無かった。
「本社から支店窓口に飛ばされて、頑張る機会すら奪われちまった俺の気持ち、考えたことあったか? いやないよな、自分のことに手一杯で、俺のことなんか見向きもしなかったもんな」
「そんなこと…」
「いや、あったよな…。蔑みだけはあっただろ? 同じスタートだったのに出来損ないってな」
「思ってない…! そんな気持ち、私は」
「ないなんて言わせねぇからな! 俺はとうの前から気付いてたんだよ。お前がそうやって俺を見放していたことを…。俺は、心底お前が羨ましかった…。好きな仕事で成功して輝いているお前が心底妬ましかった…。そして…虫唾が走るくらい、大っ嫌いだった」
向居が基樹の胸倉をつかんだ。
今にも殴りつけようとする向居に、私は思わず悲鳴に近い声をあげる。
その声に我に返るように、向居は肩から怒りを抜き、静かに、けれども凄みのある声で言った。



