なおも言い訳を返そうとする飯田を、向居は冷たく睨み据えた。
「挙句お前は、逢坂を逆恨みして逃げるようにリタイアした。俺はもう見飽きたよ。お前みたいな卑怯者は。イシダ」
「…わ、私の名前は…!」
言いかけて飯田を口つぐんだ。たぎらせていた憎しみが、向居の蔑みに満ちた冷たい瞳に消沈させられたかのように。
唇を噛んで顔を真っ赤にして泣きそうになっているのは、痛烈に解かってしまったからだろう。向居の中の自分の評価を。
名字すらまともに憶えてもらえない、自分の価値を。
「なにが努力だよ。聞き飽きたんだよ、そういうキレイごとは」
勢いを失った飯田に珍しくも果敢に加勢したのは基樹だった。
「鼻につくんだよ、お前らのその暑苦しい頑張りってやつが。その頑張りを見せつけられることすら、胸糞悪くなる人間がいるってこと、なんもわかってねぇ。…努力しても報われなかった人間の気持ち、なんも解かってねぇんだな」
怒りに任せた基樹の声は、それなのにひどく苦しみに満ちていた。
「挙句お前は、逢坂を逆恨みして逃げるようにリタイアした。俺はもう見飽きたよ。お前みたいな卑怯者は。イシダ」
「…わ、私の名前は…!」
言いかけて飯田を口つぐんだ。たぎらせていた憎しみが、向居の蔑みに満ちた冷たい瞳に消沈させられたかのように。
唇を噛んで顔を真っ赤にして泣きそうになっているのは、痛烈に解かってしまったからだろう。向居の中の自分の評価を。
名字すらまともに憶えてもらえない、自分の価値を。
「なにが努力だよ。聞き飽きたんだよ、そういうキレイごとは」
勢いを失った飯田に珍しくも果敢に加勢したのは基樹だった。
「鼻につくんだよ、お前らのその暑苦しい頑張りってやつが。その頑張りを見せつけられることすら、胸糞悪くなる人間がいるってこと、なんもわかってねぇ。…努力しても報われなかった人間の気持ち、なんも解かってねぇんだな」
怒りに任せた基樹の声は、それなのにひどく苦しみに満ちていた。



