「そうだな、たまには悪くないな」


やりっ!
さすがは向居。解かっているわ。

それに、出店を回って食べ歩くなら、二人きりになるリスクも回避できるのでほっとした。
ああほんとお祭り万歳。ツイてる、私っ。


やきそば、お好み焼き、焼き鳥に魚貝の炭火焼きまで…地元の食材を使ったものがたくさん並んでいて目移りしてしまう。おまけに、


「あ、すごい!地酒バーだって!」


特産品の地酒を扱った出店まで出ていて、しかも飲み比べまでできるみたい。お酒好きにはたまらない。

さっそく手分けして調達。向居はおつまみ…いやいや食べ物担当。私はお酒担当。
浮足立ってお酒コーナーに踏み入れて、地酒という地酒を右から左に注文した。


「お前それ…」

「え?」


人がいっぱいの飲食コーナーでどうにか空いている席に座ると、向居が両手に焼きそば、イカ焼きを持ってあきれた表情を浮かべた。


「ぜんぶお酒よ? 貴重な地酒を楽しめるのに、逃さない手はないわよ」


とテーブルの上にずらりと地酒の紙コップを並べる。