…向居はこのまま、『なにもなかった』ってことにしたいのかしら…。
そんなの腑に落ちない。うやむやになんてできそうにない。
…とくすぶる気持ちはあるものの、それならそれで、とほっとしている自分がいるのも事実だった。
…だって、向居はライバルなのよ。
同棲彼氏とも縁を切って、これからますます仕事に生きていく私に発破をかけてくれる存在なのに…。
ごちゃごちゃにわだかまっている気持ちを押しのけるように、私は声を元気に張り上げた。
「よし、じゃあ今から今夜の夕食を考えましょ」
私の発言に向居は首を傾げた。
「今夜は宿の夕食じゃないのか?」
「ええ。二日目の夜は地元のお店にしたいと思って宿は素泊まりにしたの。昼食に豪華なものを食べたから、夜は地元の酒場で肩ひじ張らない料理を堪能したいと思って」
「なるほどね。さすがぬかりがないな」
「ふふん。いいお店がありそうな界隈は調べておいたから、ふらりしながら決めましょ」
そんなの腑に落ちない。うやむやになんてできそうにない。
…とくすぶる気持ちはあるものの、それならそれで、とほっとしている自分がいるのも事実だった。
…だって、向居はライバルなのよ。
同棲彼氏とも縁を切って、これからますます仕事に生きていく私に発破をかけてくれる存在なのに…。
ごちゃごちゃにわだかまっている気持ちを押しのけるように、私は声を元気に張り上げた。
「よし、じゃあ今から今夜の夕食を考えましょ」
私の発言に向居は首を傾げた。
「今夜は宿の夕食じゃないのか?」
「ええ。二日目の夜は地元のお店にしたいと思って宿は素泊まりにしたの。昼食に豪華なものを食べたから、夜は地元の酒場で肩ひじ張らない料理を堪能したいと思って」
「なるほどね。さすがぬかりがないな」
「ふふん。いいお店がありそうな界隈は調べておいたから、ふらりしながら決めましょ」



