あらためて本堂の大きさを思い知る。広いだけじゃなくて天井の高さも驚くほどだ。
外観はその重厚感に驚かされるのに対し、中は空間の広さに圧倒される。
けれども、解放感というものは感じない。
なにか特別なオーラのようなものが、この空間に合わせて大量に満ちているのをひしひしと感じて、緊張を覚えるからだ。

私たち以外は誰もいなかった。
みしり、と鳴る床の音がやけに大きく聞こえる気がする。

本堂の真ん中に、その仏様はあった。
秘仏というだけに華やかな変わり種を想像していたけど、スタンダード(と言っていいのか)な座っている姿をした木彫りの仏様だった。


「これが、秘仏…?」

「ああ。すごいだろ」


…なにが、どう、すごいんだろう。