『流石、シュラを体内に住まわせておった上でのファライアの娘。本物の悪魔に見えるぞ。』



皮肉ながら褒めている水神様は、私と入れ替わった。



「一つ言っておこう。同年のシンは人間の男で、アルトはただの人間ではない。特殊な方法で作られた生命体じゃ。」



「いや、俺らはファラ様の娘って聞いてるけど？」



「カイラよ。歴史の一つや二つ、時代の権力者がどうとでもできるわ。」



そう言ってスルーして、話を続けた。



「数千年前、シンが王の座についた頃じゃ。アルトはその正体を知った当時の人間達から虐げられ、挙句殺される寸前まで行ったのじゃ。主らが習う歴史なんぞ、当時の人間が書き換えたに過ぎん。」



スラスラと言う水神様の話を、一言も聞き洩らすまいと言わんばかりだった。



「話少し変わるが、タクトの小僧が暴れまわってる理由も今なら大方検討がつく。あれはアルトを好いておったからのう。


彼女が人ではない何かと捉えられ、排除される姿は凄まじかった。そこに怒り狂ったんじゃよ。


いや、未だに恨んでおるのじゃよ。アルトに、普通の幸せを与えてやれなかった自分と、差別をすることでしか己を守れない人間を。今尚アルトの器を残しておると言うことは、蘇生でもさせる気じゃろう。」



と言うと、何も言い残すことなく入れ替わった。