「ええ。その彼女を好いていたのよ。タクトはね。お心当たりがありますよね?水神様。」



『!!!!』



「フィー?水神様に何かあった?」



スズさんの言葉で、あの水神様さえもが動揺した。それを私の顔色だけで察するお姉様は、少し前まで私のように体内に精霊がいたとしても、流石と言うべきかもしれない。



『あの時代のことは、己も当事者になるのう。』



「水神様に、多分、心当たりがあるそうです。」



『なっ!?』



「「「!?」」」



「それは本当なのね?フィー。」



殆ど驚く中、冷静に聞いたお姉様。




「ただ、それを素直に話してくれるかは別ですけどね。」



今の言葉に、反応を示さない。



「仕方ないわね。じゃあ、私の中に元居た悪魔の王妃(シュラ)と死んだ悪魔の王(シラクス)から聞いた話をしましょうか。精霊が皆、人間だった頃の話よ…。」



ニコニコしながら話を始めると、水神様は引きつっていた。



『まずそうな予感がする。話すから、止めろと言ってくれぬか?』



「あの、話すのでやめて欲しいそうです。」



上品にパチンと手を鳴らすお姉様。黒笑を通り越して満面の笑みだった。



「なら良かったわ!次から言うことを聞かせるにはこの手段を執りましょう。ネタは尽きることなくありますから。」