それでも歯車は回っていく3 〜王国滅亡編・下〜


順を追って説明された事を要約すると、展開した結界術式が破られて、少し話をしたところでタクトに呼び戻され、無表情でも慌てた口調になって緊急脱出術具で逃げたらしい。



「マヒナがくることは想定外でしたが、リコも含め追い払えてよかった。」



「でも、態々訓練室に来たことに意味がったんですか?」



オウナが聞いたように、正直、門扉で開戦しても、庭で二人相手しても大差ないように思える。



「まず、分断するという点では良いでしょう。誰がかけたのかこの部屋には以前から、よう精ですら到底破ることのできない精霊級の攻撃系術式を強制解除する結界術式が張られているので、未知の敵と戦うなら使わない手はありません。

そして…いえ、興味がおありでしたら、これは後で個人的にお教えしましょう。」



ここでは言えないという含みがあるのだろうか。意味深な言葉に似つかない笑み。ここぞと言わんばかりに、話を切り替えた。



「さてと。当初の通りあの部屋に行きましょうか?フィー、この箱に、悪魔の雪をかけることはできますか?」



一瞬身を引きかけたけど、格的には精霊級に等しい古代術式で姉を回復させて反動が何もないと思うと、もう少し背伸びしてもいいのではないかと無詠唱で使用した。



「じゃ、じゃあ。古代術式・悪魔の雪(スノウ・ヴィル)」



この油断が、後の足かせになるとは知らずに。



「やはり、オリジナルの悪魔の雪でしたか。」



カチリ。音がして、箱が開く。まあ当然の如く鍵が出てきたわけで、ごくごくありふれた鍵だった。



「悪魔の雪を使ったのです。体の負担も心配ですし、車椅子で行きましょう。押しますよ。」



「じゃあ、私たちはリビングで待ってるね。今後の孤児院の方針も決めなきゃいけないから。」