それでも歯車は回っていく3 〜王国滅亡編・下〜


「怖くて転移もできなかったのに、できるはずが…。」



脳裏によぎったのは、母の死の時や1日戦争のことだった。



「(自分が壊れること以上に、家族が死ぬのはもう、お姉様が死ぬなんて、嫌だから。怖いけど、それ以上に怖いから。)」



追い込まれた。追い込まれた末に彼女は、無意識に精霊回路はあるか、身体に損傷がないか、冷静に全てを術式で確認してから額に手を当てた。



「全員、離れてください。」



完全に集中しきった姿は、まるで他を寄せ付けない。周囲にいた全員が数歩下がった。



「(怖い、怖い。でも、やらなきゃいけない。一人じゃ失敗するかもしれないから、喋らなくてもいい。私に力を貸してください。水神様。)」



「我、純真なる光を誘う王なるもの。
その誇りにかけて、この者を救いたまえ。
古代術式、生命の源へ(デッドオアライフズ)」



右目に水精の紋章が浮かび上がり、目に見える精霊力(?)が、流れ込んで覆っていった。



「ッ!!リコ!!」



ガバッと起き上がったファレリア。パサッと肩に乗った頭に、目を疑った。



「フィー、まさか、術式を使ったの…?また体が不自由になったらどうする気!?私なんかのために易々と使っては、あなたがッ…フィー!!」



「勝手に、死んだみたいな言い方しないで下さいよ。」



上半身を起こすとファレリアが抱きとめた。



「あれだけ術式を使いたがらなかったのに…どうして…。」



「あ、どうしてでしょう…使えてしまった?」



「上級術式、瞬間移動!!」



苦笑いをしたそのすぐ後で、タイガとオウナも戻ってきた。



「ごめん、ちょっと横になる。限界突破・解除。」



「オウナ、ババアになったんやない?俺はそこそこ平気やけど?」



仰向けに寝転んで、肩で息をするオウナ。強がるタイガは地面に突き刺して日本刀に体を預ける。



「それより、今までに何があったんですか?」



オウナが聞くと、大人に頼んで子供達を訓練に戻してからフィーネを車椅子に戻して話をした。