それでも歯車は回っていく3 〜王国滅亡編・下〜

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「ハッ、ハッ、ハッ…。」



「オ、オウナさん…。」



先の戦闘の少し前。瞬間移動で孤児院内の練習場に戻ると、息を切らして心臓辺りをグッと掴みながら、強がって声を出した。



「いやあ、事前準備はしなきゃいけなかったね。それより、アスレイちゃんが、結界内へって。」



とうに限界を迎えた体に鞭を打つかのようにフラフラと強引に立ち上がった。



「で、でも、オウナさん…。」



「大丈夫よ。だって、フィーネちゃんの右腕なんだもの…それに多分、向こうも交戦中になってる。行かなきゃ。上級術式、上限解放(リミット・ブレイク)。大丈夫ッ!!上級術式…瞬間、移動!!」



精霊力を回復して、と言うと語弊がある。残った精霊力の質を悪くしてでも量に変えて、再び転移(と)んだ。質を悪くすることは体によくないが、良すぎて少ないよりはマシな事もある。故に、これが彼女流本気の戦い方だった。



「あなた、一緒にいた子よね?」



一人の女性が声をかけてきた。けど、指差す先に、目の前にあったのは、意識なく倒れているファレリア。孤児院の子供達や指導に来た人が、駆け寄って声を掛けていた。



フィーネは震える手で車椅子を動かしながら、崩れ落ちるかのように横にヘタリ込んだ。



「なにかの、間違いですよね…全部、嘘だって言ってくれますよね。ほら、悪魔の味方した時みたいに、全部何かの為で今こうして…。」



術式を使えば、復活できる見込みはある。