それでも歯車は回っていく3 〜王国滅亡編・下〜

「あたしをバカにするなんてヒドイ〜。そうだわ!見世物にウェルティフル学園でも襲撃しようかs…。」



「鎌鼬(かまいたち)!!」



力を振り絞った、右手で一振りした日本刀の斬撃を使用して発動する鎌鼬。マヒナの頬からはツーッと血が流れていた。



「…はあ?よくもやってくれたわね?」



「あ?よくも?そりゃてめえの方だろ。精霊だろうがなんだろうが、ウェルティフルを攻撃するなんて戯言、2度と口にすんじゃねえ。次は確実に喉元掻っ切ってやる。…チッ、くそッ。」



今の術式発動で更なる脱力感に見舞われた。



「あっそう。そっくりそのまま特大ブーメランするわよ!!精霊術式、鎌鼬・顎門!!」



「精霊、術式?」



鱗のような、硬い風。けど、鱗というか、もう刃物のようだった。



「精霊が、わざわざ他の精霊の力を借りるとでも?術式使うなら、自分の力でってことよ!!」



「これ、今喰らったら死ぬな。避けらんねえし。ハハッ、わりーな──リーシャ。」



「行きなさッ!!」



まさに今、投げつけようとした瞬間だった。



「瞬間移動!!」



「ッ!!」



背後に少し浮遊して現れたオウナが、足で首を引っ掛けて蹴り上げた。



「オウナ!?」



「最上級術式、雪花・乱舞(せっか・らんぶ)!!」



空中で別の方向に蹴っては転移してを繰り返す。それはまるで、桜の花びらが散るような雪が乱れ舞うかの如く。瞬間移動を繰り返し、サッカーの一人パスのように、ピンボールのように、蹴っては移動を繰り返す。



「その程度ッ減速!」



自身の速度を遅くしてタイミングをずらそうとしたようだが、彼女に通じるわけがなかった。速度を意図的に変えてもタイミング良く転移してくる。



「ふッ!!」

「(なんでよ。常人に瞬間移動の乱用なんて、できるわけないじゃない!何か手はッ!?…そっか。一見瞬間移動に見えるけど、視線で飛ぶ方を目視した瞬間移動をしてるだけ。なら、視線の方に術式を張っちゃえば良い!!)」



「(何か、仕掛けてくる?)」



「聖霊術式、連鎖爆弾(エクスプロージョン)・起」



「甘いッ。」



確かに、視線の先で爆発した。爆発したけど、視線の先に蹴られてはいなかった。



「視線だけ、転移すると思ったら、大間違い!!」