それでも歯車は回っていく3 〜王国滅亡編・下〜

「にしても、フィーネに旦那。ウェルティに行ったんも驚くけど、余計想像できへんわ。」



彼女は彼が孤児院を出てから学園に入ったから、そこへ行ったことを知らなかったのかもしれない。



「そんなこと言って、タイガなんて一生独身じゃない?」



「あれ?言ってなかったっけ?仕事先で出会えた令嬢が婚約者で、今はウェルティにおるって。」



まあ、年的にいてもおかしくはない。が、まさか母校のウェルティフル学園の在学生とは思っていなかった。



「聞いてもわからないと思うけど一応。相手は誰?名前は?」



「あー、リーシャ。」



「え?リーシャってどこかで…。」


「(学園に、リーシャって…。まさか!!)」


「もしかして、リーシャ・レイロッド!?」



「あ?なんで知ってんだ。」



リーシャ・レイロッドといえば、彼女が3年生の時の新入生。フィーネに貴族だのなんだのと文句を言って、当時の生徒会とファレリアに返り討ちにされてた子だ。(それハグ1参照)



フィーネはよく覚えてた自分。と褒める一方、その旦那を前にいちゃもんつけられた。なんて言えないし。でも、事実を言わなきゃいけない。葛藤の中で、苦渋の選択をした。



「入学式で会ったからだよ。」



入学式(の後廊下)で会っ(てごたごたあっ)たから。と、回りくどい事実を言った。間違ってはいない。



「そうか…お前、生徒会ってことは名も通っとったやろうし、あいつお前になんかちょっかいかけたやろ?」



「ちょっかい!?」



「いやな、一緒に孤児院で過ごしてたことも、俺の初恋って事も伝えて嫉妬してたからな。そこの孤児!!…って言うと俺もなってまうから、そこの庶民!!くらい言ったんやないかな?って思ったんやけど。」



「…なんか、そんな気がしないでもない。」



「許せとは言わへんけど、ごめんな。」



昔の捻くれた彼からは、ごめんのごの字も想像できないけど、大人になったんだなと感心していた。