それでも歯車は回っていく3 〜王国滅亡編・下〜

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時間をほんの少し遡って話を始めよう。二人は孤児院の庭で一番日当たりのいい場所にいた。



「なんでって聞かないんだ。車椅子。」



「別に。他人と違うからなんやって話やで。
親がいねえ奴は当たり前におるし、術式が使えねえ奴だって当たり前におる。どっか何かが不自由なことがあるやつなんてザラにおる。
それがお前は、偶々足やったって話やろ?それとも何か?話したかった?」



「いや、いい。」



彼女の中で初めて、タイガが優しく見えた瞬間だと思った。



「あ、じゃあ今やから言える話してもいいか?」



「えっ、何!?聞いてみたい、と思う。」



「ハハッ。実を言うとな、お前が羨ましかったんよ。お前を虐めていた殆どが。」



「えっ?」



タイガが隠し事が下手そうというのは薄々感じてはいたけど、こんなドストレートに豪速球を投げられると思ってはいなかった。



「お前は少なくとも、7歳までは実の親に育てられた。ある程度どこの誰かを保証してくれる人がおった。俺たちは、どこで誰から生まれたのかを知らずに生きて行く奴が殆どや。
本当の親の愛情を知らない連中が嫉妬したんよ。俺含めてな。あと、ユキナを独り占めにしてた気がした。」



「えっ?そんなに!?」



「ッたりめえやろ。買い物に着いて行くなんてめっさ羨ましかったよ。」



それからは、フィーネが孤児院を出てからの話で盛り上がり、現状報告のような話になった。