◼︎◼︎◼︎
翌日
「上級術式、瞬間移動。」
貧民街に立っている、少し汚れたレンガの一軒家。国で改善策を施行しているものの、無法地帯ということもあってこの辺では綺麗な方。お姉様に連れられて着いたそこは、昔と何一つ変わらない外観だった。
「どう?久しぶりの術式。何か変化は…。」
「自分で発動したわけじゃないから、平気だと思います。」
「そう、それは良かったわ。」
お姉様の瞬間移動術式(コピー)で、貧民街の孤児院に来ていた。ただの孤児院というわけではなく、私が母を亡くしてから学園に入るまでを過ごした孤児院。フィーネ・アルマイラという名も、ここで貰った。
「でも正直、ここには来たくはなかったです」
「……確かに、フィーにとっていい思い出はないかもしれないわね。」
黒や茶、稀に金銀だから、この辺では人一倍浮く青い髪に、当時は得体の知れなかった目。同世代の孤児たちは勿論、ユキナさん以外の職員たちも私を腫れ物に触るように見ていた。
「それに、この姿でも来たくなかったです。」
どこから用意したのか。それは車椅子だった。もしかして、昨日の準備というのもこれだったりする(?)。
「歩くように見せかけるだけの術式で、無駄な精霊力を使って欲しくないのよ。」
景色が低いことに違和感を覚えつつ、術式で強引に歩くことの何倍も気が楽だと思うと、まあいいかと流されている自分がいる。
「…おかしいわね、もう来てもおかしく無いのに。」
「そういえば、待ち合わせって誰としてるんですか?」
門扉で待機していた私たち。ユキナさんの情報を私しか得られないと言った人物も、一緒に来ることになっていた。
「ふふっ、フィーもよく知ってる人物よ。」
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに声を弾ませたお姉様とは対称的に、ため息をつこうとした時だった。
翌日
「上級術式、瞬間移動。」
貧民街に立っている、少し汚れたレンガの一軒家。国で改善策を施行しているものの、無法地帯ということもあってこの辺では綺麗な方。お姉様に連れられて着いたそこは、昔と何一つ変わらない外観だった。
「どう?久しぶりの術式。何か変化は…。」
「自分で発動したわけじゃないから、平気だと思います。」
「そう、それは良かったわ。」
お姉様の瞬間移動術式(コピー)で、貧民街の孤児院に来ていた。ただの孤児院というわけではなく、私が母を亡くしてから学園に入るまでを過ごした孤児院。フィーネ・アルマイラという名も、ここで貰った。
「でも正直、ここには来たくはなかったです」
「……確かに、フィーにとっていい思い出はないかもしれないわね。」
黒や茶、稀に金銀だから、この辺では人一倍浮く青い髪に、当時は得体の知れなかった目。同世代の孤児たちは勿論、ユキナさん以外の職員たちも私を腫れ物に触るように見ていた。
「それに、この姿でも来たくなかったです。」
どこから用意したのか。それは車椅子だった。もしかして、昨日の準備というのもこれだったりする(?)。
「歩くように見せかけるだけの術式で、無駄な精霊力を使って欲しくないのよ。」
景色が低いことに違和感を覚えつつ、術式で強引に歩くことの何倍も気が楽だと思うと、まあいいかと流されている自分がいる。
「…おかしいわね、もう来てもおかしく無いのに。」
「そういえば、待ち合わせって誰としてるんですか?」
門扉で待機していた私たち。ユキナさんの情報を私しか得られないと言った人物も、一緒に来ることになっていた。
「ふふっ、フィーもよく知ってる人物よ。」
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに声を弾ませたお姉様とは対称的に、ため息をつこうとした時だった。

