結局1時間近く粘られて、仕方なくお姉様と二人で向かい合って、仕方なく少しの書類を手に、仕方なくお茶を飲んでいた。



「領地内の増税、他国高級品の減税、領地の主張に昇級申請って…この書類殆ど、今の国にとってはくだらないものばかりじゃないですか。他にやることがあるっていうのに。」



「そう。けれど、理由もなく突っぱねると反発されて、ごねられる内容の課題は山積みよ。」



ティーカップを置きながら、私たちはその書類たちに目を通して行った。



「全く。また戦争がすぐ起こるっていうのに。」



「…これは、束の間の平和。いえ、嵐の前の静けさかしら。」



早ければ明日、よう精との戦争が起きてもなんら不思議はない。考えれば考えるほど、自己中心的な書類に目を通すのがバカらしく思えてくる。



「時間もない上にこの前の戦争で戦力も削られたてすぐで、付き合っていられないですね。」



「…本当そうよ。でも今一番の痛手は、特攻隊の戦力が削られたこと。」



特攻隊とは、正式名称を国軍殲滅隊殲滅本部最前線特殊特攻班特攻隊。戦局を一気に変えられるとも、片手の人数で国を征服できるとも、戦争になれば最前線に出て的役必至ともいわれる、20人にも満たない超精鋭部隊。

その特攻隊でも、超重要ポストにいたタクトさんが前隊長を殺し、その上よう精当主だったことを自白して脱退・逃亡。亡き先代の意向で、今は私が隊長をしている。



「事実を隠蔽できているうちはいいですよ。でも、バレるのは時間の問題。バレて他国からどうこうされることはないと思いますけど、国内からどう捉えられるか。」



「ええ。それに加えてタクトは人間では早々いない実力者。補充のしようがないですからね。
何より、国内最大精霊量保持者の貴方の両足も水神の代償で使えず終い。加えて最大精霊保有量も着々と減っていると来たら、国として、姉として不安です。」