───
──
ヴィーナス王国・王接間



「世界を助けるって…。」



オレンジと紅でグラデーションの瞳、本来背中まで届く水色の天パを、国のスタイリストに頼んでセットしてもらったのが私。フィル・アス・ライナ・クラフィネイト(19)。


諸事情により記憶を消されていた頃は、フィーネ・アルマイラと名乗っていた。



『まあ?主(ぬし)らと己(うぬ)の力全てを使えばなんとかなるかも知れん領域じゃのう。』



私の中だけで聞こえる声。精霊と呼ばれる、術式の素となる存在の中でもトップクラスになる水精。その頂点、水神(すいしん)様。(年齢不詳)



「これ以上、フィーに無茶をさせたくはないのに…。」



優しい声のストレートロングのピンク髪、気品溢れるこの方が、現王妃、ファレリア・レイ・クラフィネイトお姉様(21)。ちゃんと血の繋がった姉、現王妃だ。



「それに対しては、俺も同意見だ。」



私の手を握るのは、私の夫になったゲキ・クラフィネイト(19)。旧姓はアレクシア侯爵。


紫寄りの青い瞳で黒髪の、カッコいい人です。国軍にも所属していて、一部からは銃バカ嫁バカ、只のバカと言われているそうですが、それだけ真っ直ぐにぶつかってくれる人。



「さて?改めて状況を整理しようか?」



彼は、お姉さまの婚約者で国王になったカイラ・レン・クラフィネイト(20)。旧姓はアオレル公爵。


血の繋がりはないものの、本人の希望もあって私はお兄様と呼んでいる。



この4人が現ヴィーナス王国王家で、王座に座っている4人。



「一言で言えば、お前らの当主、タクトが世界を裏切ったってとこか?」



「ええ、その通りよ。」



見た目は白い肌に華奢な体、茶髪の少女なのに、すごく大人なオーラが出ている。が、彼女は精霊では3番目の地位のよう精。


そして、そのよう精の当主であるタクトさんから逃げてきた。よう精当主代理だったスズさん(年齢不詳)。



「そんな言い方ないよ、カイラくん!」



ボブの黒髪で青目で可愛らしい、普段は温厚なシオン・カフィス侯爵(20)。


お父さんの方から爵位を譲ってもらったそうで、世界的貿易商社方舟の社長令嬢でもある。