「那月くん!一人で行くのやめてよ…」
「……ん。」
本をひとつひとつ見ている彼は、私に見向きもしないで軽い返事を残す。
「あの人たち誰?」
「……さあね。関係ない。」
こ、この人!!絶対知ってる!
「…この書庫のこと知ってるの?」
「いや……あんたの部屋にどうしてこんな書庫が?」
「…関係ない。」
本当は詳しく知らないし、言ってもいいんだけどあの人たちの事を教えてくれなかった仕返し!
「はぁ……あいつらは、那月家の人たち。」
「なんで追いかけられてるの?」
「…さぁ?鬼ごっこしたいんじゃない?」
鬼ごっこって……
そんなに知られたくないことなのだろうか。
「…この書庫は、わかんない。寮に来た時に、女の人の声が聞こえて…」
「へー。」
「興味ないなら聞かないでください!」
「……ここにある本、殆ど禁断書だけど?」
……はい?
禁断書ってあれでしょ?
読んだりしたらダメって言われてるもので…
「えっ!?……だめじゃん!」
「…まあ。ばれたらやばいんじゃない?」
え……他人事みたいに。
他人だけど…でも。
「…秘密にはしとくから、今日会ったことも秘密で。
またあの男達が来てもドアは開けるなよ。」
階段を上がる音が聞こえる。
「…なんだ。悪い人じゃないじゃん。」
確かに聞こえたよ……
「……ありがと。」
って言葉が。

