あたしと巧の間の時間だけが止まった気がした。



鈴は美瑚に駆け寄ってその美脚に抱きついた。
美瑚は足に抱きつく鈴を抱き上げた。



「鈴ちゃん遅くなってごめんね?」


「ううん!だいじょうぶ!」



美瑚に笑いかけると鈴の視線は自然と隣にいる巧へと移る。



鈴は男性とあまり接点がない。
唯一あるのがお義父さんくらい。



だからどんな反応を見せるのか怖くて心拍数が上昇していく。



そして鈴の言葉があたしの心拍数をさらに上昇させた。



「……ぱぱ?」


「……っ!!」


「まー!ぱぱ?すーのぱぱなの!?……まー?」



鈴の父親のことは今までずっと隠してた。



鈴はいなくても気にしてない様子だった。



だから大丈夫だと勝手に思ってた。
でもこの満面の笑顔でわかってしまった。



ずっと鈴はどこかで自分の父親を探していたのだと。