「またここにいたの?」

みのりさんの言葉で俺は顔を上げた。

ここは村の墓場。この前までこの村でやっていた人狼ゲームの被害者たちが眠る場所。そこには俺がずっと好きだったやつも眠っている。


なんであいつが死んだんだろう。あいつは、あいつだけは死なないと思ってた。死んでほしくないと思ってた。

「正直、あんなことがこの村で起きていたなんて今でも信じられないっす。あいつもどこかでこっそり出てきて俺のことをバカにするんじゃないかと少しだけ思ったりもするんです。でも、あの時あいつの家から見つかったあいつだった『モノ』はもう原型をとどめていなくってっっっっ。」

きっとこの時の俺は涙と鼻水とで顔がぐちゃぐちゃだったと思う。あれからもう何度泣いただろうか。あいつの顔を思い出すたび俺は生きていることさえ辛くなっていく。

「泣かないでとは言えないよ。そのことなんだけど私のせいだって思ってるの。」
「なんでですか?はるかさんは悪くないじゃないですか。そもそも俺がもっと早くに。」
「いや、私のせいだよ。私があの人と結婚してっっっ」

「あーあーあー泣かないでください。そんなこと言ってもはるかさんも毎日墓に来てるじゃないですか。口ではそんなこと言っても大事な娘だったんじゃないんですか。俺だって嫌いじゃなかったですよ。」

正直に言ってまだ吹っ切れていない。はるかさんにはああ言ったけどやっぱり憎いところはある。




伝えていないことがあったから。




ああ、結局言えなかったな。最後に言いたかったな。墓の前で言ったところで伝わらないのに。もう遅いのはわかってる。でも俺は…






…小島に伝えたかったな。