「すげえ好きだった、振られても暫くは引きずってた」
「高梨………」
「お前は知らないだろうけど何人もの男が玉砕してんの!
でも、振られてもあと腐れなくて逆に諦めきれない男だっているの!
俺も漸く吹っ切れたんだ
その中でも部長は別
入社してからすぐ付き合ってたの!
でも一年位か前に別れたって噂あったけど、今になってプロポーズだ」
あ、痛い
また、心臓から変な音が鳴った
「お前はさ、知らなかったのか?
可憐さんと部長が付き合ってたこと」
「あ……」
また、だ
ぎゅーと心臓が鷲掴みされたかの様に痛い
苦しい
「悪い…………そんな顔するな………」
高梨が子供をあやす様に俺の頭をポンッとたたく
わかんねぇ
高梨がこんな話をするのも
可憐が部長と付き合ってたとか、プロポーズされたとか………
可憐は俺と二人の時も部長の事は言わなかった
部長どころか彼氏が居るとも言わなかった
「彼氏が居てたこと聞いてどんな気分だ?」
「え?」
情けない声が出る
どんな気分って………
「そんな顔して'可憐のくせに'なんて言うなよ?
お前から可憐さんに彼氏の話も聞いた事もなかったんだろ?
お前は出来れば、彼氏の話なんて聞きたくなかったんだよ
はっきり言ってやるよ
吉岡、お前可憐さんの事、好きなんだよ」
事件です