「俺は……高梨にも可憐にも顔だけみたいに、思われたくないんだ」

「え?」

「俺にとっては二人とも親友なんだ」

「可憐さんへの恋愛感情を頑なに否定してたのもそれか?」

「それは……無意識だけどたぶんそうだと思う」

「それでも、可憐さんは女だろ?
親友とは違う気がするな、ストップ掛けてる何かがあったか?」

「そうかも、さっきの話じゃないけど彼女になるといつかは別れると思って
可憐とはそうなりたくなかった
ずっと傍に居て欲しかったんだ」




きっと、可憐はちゃんと俺を見てくれてた
あれは、入社して新人研修も終わった頃だった


資料を探していたら廊下から声が聞こえて、それが可憐と他の女性社員二人の声だった



「吉岡くん、新人では断トツだよね~
超イケメン!一度でも抱かれたいかも~
可憐、同じグループだったよね~紹介してよ~」

「え?彰ってイケメンなの?」

「可憐からしたら吉岡くんもイケメンじゃなくなるの~?」

「イケメンかはあんまりわからないなぁ
でも、彰は仕事に一生懸命だし優しいし
彰自体もちゃんとイケメンだよ!良い男だよ~」





そんな事言われた事無かった
気づいたら手が震えてた


何となく自分の存在を認めて貰えたのだと思った
その時に俺は可憐に恋愛感情は封印したのかも知れない

俺をわかってくれるヤツを手放したくなかったんだろうな