「彼女達にはだいたい、見た目が良いからって言われてた
友達に紹介したいって、自慢したいって
自分がイケメンだとか、そんな見た目をしてると思ったことはないけど、きっとそうなんだろうなって自覚はしてる
でも、それを嬉しいとか自慢になんて思えないんだ
今までだって好きだと言ってくるヤツは結局、俺の見た目だけだったから」


高梨はただ、黙って聞いてくれていた
高梨は社会人になってからの友人であり親友だと思っている
居心地が良くて
さっきの話じゃないけど、高梨も人を誉めるの上手いんだよな
聞き上手だし
だから、つい相談してしまうことも
それは可憐にも言えることで




「最後別れるときはいつも、'顔だけの男'みたいなこと言われてたな」

「なんだそれ!酷いな……」

「でも、真剣になれなかった俺も悪いんだ
顔だけ、見た目だけで良いなんて思うのは最初だけ
結局、皆愛されたいんだろ?
触れ合っても、抱き締めあっても結局そこに愛が無ければ虚しいだけ」




結局、見た目だけで満足できるのは最初だけ
友達に会わせて自慢するのも最初だけ
だんだん、物足りなくなるんだろうな
がっついたりとか、嫉妬なんてしたこともない


高橋は'酷い'って言うけど俺は気にしたりもしなくて
それでも、俺の価値はそれだけなんだと思うと
恋愛にも消極的になったし、楽しくなかった

だから、今に至るんだろうけど