「お前のそれ、謙遜でもなさそうだよな
自分に自信がないのか？」
「……」
「お前ほどの容姿があって、頭も良くて
彼女だって切らしたことなかったんだろ？
それなのに、お前自身はそれを鼻にもかけてない
ただ、良いヤツとは違うんだよ
可憐さんのことも頑なに否定してたのも気になってな」
高梨の話にはドキッとした
自信が有るのか無いのかと言えば「無い」
だからと言って卑屈になってるわけでもない
ただ……
「諦めることを覚えたか？」
「え？」
「お前に恋愛初心者だって言ったのも満更間違いじゃなかったみたいだしな」
「なんで？」
「俺はお前と可憐さんを三年間見てきたんだぞ？」
「………」
「可憐さんは、お前の歴代の彼女とは違うよ」
歴代の彼女
それが、多いのか少ないかはわからない
でも、なんとなく顔はうろ覚えでも言われた言葉は覚えている
「心当たりあるって顔だな」
「………」
「あんまり、言いたくないか？」
「いや、そう言うわけじゃない
ただ、言われても思い付かないと言うか……」
「違うな」
「え？」
「思い付かないんじゃない
思い付いてるけど、そこに可憐さんがあてはまった時怖いんだろ
可憐さんも、同じようになるんじゃないかって」
そうなのかも知れない
可憐を好きになったからこそ、どこか踏み入るのが怖いのかも
それに、この感情をもて余してる
溢れてくる気持ちが押さえきれなくて自分が怖い
