「吉岡、お前あわよくば俺に言う気無かっただろ」
「うっ……」
高梨ってするどいな
確かに、仕事でもよく気付いてる
だから、課長なんだろうけど
「まぁ、とりあえず乾杯しようぜ!お疲れ!」
「おぅ、お疲れ」
カチンとグラスを合わせて、目の前のビールを煽った
会社では喫煙室だったこともあって、帰りにいつもの居酒屋集合
月曜日から来ることなんてないけど「週末まで待てるか!」と高梨に怒られた
きっと、高梨にとって月曜日に定時で終わらせるなんて難しかったはずだ
少し遅れてやってきた高梨にやっぱりこいつは課長なんだと改めて思った
「仕事、大丈夫だったのか?」
「あー、そんなに立て込んだ物もなかったしな
でも、遅れて悪かったな」
「いや、」
遅れたって言っても15分程度だ
社会人で'遅れ'に値しないだろう
「あそこじゃ、ゆっくり話せないからな」
「まぁ、そうだな」
確かに喫煙室でヤったヤってないの話はしたくない
どこで誰か聞き耳立ててるかもわからないし
「兎も角、可憐さんとはうまく行ったんだろ?」
「……うん」
「そっか、それなら良かったよ
で?まだ、ヤってねぇって?」
「うっ………」
き、きた!
このネタには触れてほしくないのに
「なに?怖じ気づいたか?」
「………そうかも知れないな」
高梨は驚いた様に目を丸くさせた