情けない
俺はこんなにも情けない男だったのかと落ち込みそうになる
いや、落ち込む



それでも、話をする前に可憐の気持ちが知りたい
願わくば同じであって欲しい


グッと唇を噛み締めた
諦めるつもりは全くないけど、例え可憐が俺と付き合えなくても

絶対、俺のものにする
そう強気な気持ちもあるのに、怖さも込み上げてくるんだ



暖かいものが唇に触れる




「そんなに噛んだら血がでちゃうよ?」



可憐の指が触れていた
ゆっくりと可憐の顔が視線に映る
目も瞑ってしまっていたみたいだ
どんだけ、怖がってんだよ



「ちゃんと見て?」


「可憐……」



俺はたまらなくなって可憐を抱き寄せた
初めて抱き締めた身体は凄く細くて小さくて


また、泣きそうになった


離さないと言わんばかりにぎゅっと抱き締める俺の気持ちに気付いているのか
俺を落ち着かせるように可憐の手がゆっくりと俺の背中をトントンと叩く



「余裕じゃん……なんかムカつく」

「ふふ、彰……子どもみたいね」

「うるせ、笑うな」



小さな身体が小刻みに揺れて笑われてるのはわかってるのに安心する
抱き締めながら少しずつ気持ちが落ち着いてきた



「部長なんかにやらねぇからな」

「うん」

「恋愛初心者なめんなよ」

「ふふ、その辺の話は興味あるなぁ」

「可憐……好きだよ」

「うん、私も彰のこと大好きだよ」