「ん?なに?」
「あ、いや、」
あまりにジロジロ見すぎたのか可憐が俺の視線に気付いた
きっと、良い視線じゃないのもわかってる
「絶対、良からぬ事思ってるよね」
ほら、やっぱり気付く
ごめん、可憐
かなり、良からぬ事だ
悪口にも近いか?
「思ってないよ、相変わらず男みたいにな呑みっぷりだなと思って」
「何よ~~男みたいって!これでも女子なんだからね!」
「ははっ、わかってるよ」
楽しい
こんな言い合いが
だから、崩したくない
男とか女とかの関係じゃなくて
「もうっ!こんな私でも良いって言ってくれる人もいるんだからね!」
部長か?
一瞬、出そうになったのをグッと堪えた
たぶん、可憐は何も考えてない
可憐の今、頭の中を占めたのは誰だ?
そんな、可憐でも良いって言ってくれたのは?
部長?それとも、他の男?
「あー、可憐さん!久しぶりっす!」
「圭吾くん頑張ってる?」
バイト君が嬉しそうに近付いてきた
知り合い?
だって、まだ一週間位って
「あ、彰は初めて?」
「あー、うん」
「一週間前から店長の元に通ってます!」
「あ、どうも」
「可憐さんのおかげで店長にOKもらえたんすよ!」
「圭吾くんが頑張ったからでしょ」
楽しそうに笑う二人に何故だか、面白くない
俺の知らない可憐がそこにいた
俺は「トイレ」と呟いて席を立った

