今日はわたしの20歳の誕生日。

大人になる記念の日だから、と家族揃って食事へ出かけた。


1月にあった、成人式には行かなかった。

同級生たちに会う勇気が持てなかったからだ。




食事から帰り、郵便受けに入っていたものを束でつかみ、宛名をそれぞれボンヤリ確認していると

一通、わたし宛の手紙を見つけた。


……ドクン、と胸が脈打つ。


見覚えのある字。


いや、待って。

ありえないでしょ。


そう思いながらも、緊張は増していく。


震える手で封筒を裏返し、そこに書いてあるであろう差出人を目で追うと、

そこには


――――朝霧 陽斗(あさぎり はると)

とハッキリ書かれていた。



ありえない名前に、心臓が止まりそうになった。


呼吸すら忘れたかのように呆然とその場に立ち尽くす。


その姿に気付いた母が、「どうしたの?」と声をかけてくるまで動けずにいた。


「な……んでもない。上行ってるね」


平静を装い、わたしはその手紙をバッグに隠すように持って、2階の自分の部屋へ移動した。