「広ちゃん、最近はどうなの?」
そう栗山が質問する相手は中村。
綾部もやはり能力があり、そのためあまり人と話すのが得意ではないのだ。
「んー。
ちょっと気になる夢は見てるみたい。」
綾部の能力は『予知夢』
夢なんてだいたいがあやふやなため、判断が難しいが、それを判別したりする手伝いを中村が行なっていた。
「まぁまぁ。たまには事件のことは忘れて、茶でも飲まんか。」
相変わらず呑気なじいさんにみんな呆れ返った視線を送る。
刑事が事件のことを忘れてどうするんだか。
「ごめん。じいさん。
気になることがあったから寄っただけ。
また何か聞きたかったら来るからよろしく。」
中村が一番に席を立つと、それに栗山も続く。
「もう。じいさんは相変わらずね。
私も抱えてる仕事がまだあって。
恩ちゃんも行くわよ。」
みんな出て行ってしまえば、いつもの寂しい部屋。
「みんなつれないのぉ。ワンちゃんはまだここにいるのか?」
「……悪かったな。
書類の整理が苦手なんだよ。」
なんでこうみんなはここに籠らないでも書類の整理が出来てるんだ。
文句を言いたい気持ちを押し殺して、机に向かう。
声に出したところで、どうせ作業効率が悪いだどうだと言われるのがオチだ。
「なんだ。美雨ちゃんに頼みなさい。
整理整頓は得意なはずじゃ。」
茶でも、と言っていたじいさんさえも部屋を出て行ってしまった。
美雨ちゃんに頼みなさい??
そういえば生活能力は上だったような…。
「んだよ。得意なら言えよ。」
無言の美雨をチラリと見れば、バツの悪そうな顔をしている。
「得意じゃない。パソコン出来ない。」
パソコン出来ないなら話にならないな。
だいたいじいさんもダメなのか…。
部屋には犬飼と美雨のみ。
じいさんがいる間も一言も言葉を発しなかった。
おもむろに山積みの書類に美雨が手をかけた。
「この紙の整理は得意。」
それだけ言うとまた無言で作業を始めた。
アパートにいる時だけの豹変っぷりに犬飼は拍子抜けしていた。

