「ちっせー。」
母猫の周りにミィミィ鳴いている仔猫達。
まだ小さくて母猫が居なくては生きていけないだろう。
「にいちゃん案外いい奴だな。」
ボソッとつぶやいた男の子の言葉が胸に突き刺さる気がした。
内ポケットの中にある猫の写真。
それは平井さんから渡されたもので、探しているミケの写真。
そして目の前にいる母猫。
それを見比べなくても同じ猫というのは疑う余地さえなかった。
写真を見せ、平井さんが探してると告げたら、この男の子は猫と『さよなら』しないといけない。
どうしてか内ポケットに手を入れられずにいた。
「この猫。飼い主がいる。」
初めて外で話した美雨に驚きの目を向ければ、男の子も目をクリクリさせて美雨を見た。
「そっか…。良かったな。ミケ。
お前ノラじゃなかったんだな。」
「すげーな。
本当の名前もミケだそうだ。」
やっと内ポケットに手を入れて写真を見せる。
男の子は安堵するような寂しそうな顔をした。
「ノラじゃないなら連れて行かれて殺されたりはしないよな。」
「安心しろ。ミケの飼い主はミケを溺愛してそうだったぞ。」
安堵する2人とは対照的に美雨の表情は浮かない。
「ううん。
ミケは飼い猫だけど赤ちゃんまで飼ってくれるか分からない。」
「お前、それを心配してたのか。
俺からも頼んでやるよ。
もし飼えないって言われたら里親を探せばいい。」
寂しげな美雨の表情が昨日の涙の跡が残る寝顔とダブって見えて思わず腕の中に引き寄せて頭を撫でてやった。
「なんだよ。見せつけんなよ。」
「な…そんなんじゃねーよ。」
小学生に冷やかされるなんて俺も終わりだな。
苦々しく思いながら、男の子の学校が終わってから平井さんの所に連れて行くことを約束して別れた。
思わず抱き寄せた美雨をもちろん引き離して。
それなのに美雨は嬉しそうに顔をほころばせている。
「やっぱりワンちゃんいい人。」
いい人…ね。
美雨のことがほんの少しだけ分かったような分からないような犬飼だったが、美雨といると飽きないかもな。そんなことを思っていた。
母猫の周りにミィミィ鳴いている仔猫達。
まだ小さくて母猫が居なくては生きていけないだろう。
「にいちゃん案外いい奴だな。」
ボソッとつぶやいた男の子の言葉が胸に突き刺さる気がした。
内ポケットの中にある猫の写真。
それは平井さんから渡されたもので、探しているミケの写真。
そして目の前にいる母猫。
それを見比べなくても同じ猫というのは疑う余地さえなかった。
写真を見せ、平井さんが探してると告げたら、この男の子は猫と『さよなら』しないといけない。
どうしてか内ポケットに手を入れられずにいた。
「この猫。飼い主がいる。」
初めて外で話した美雨に驚きの目を向ければ、男の子も目をクリクリさせて美雨を見た。
「そっか…。良かったな。ミケ。
お前ノラじゃなかったんだな。」
「すげーな。
本当の名前もミケだそうだ。」
やっと内ポケットに手を入れて写真を見せる。
男の子は安堵するような寂しそうな顔をした。
「ノラじゃないなら連れて行かれて殺されたりはしないよな。」
「安心しろ。ミケの飼い主はミケを溺愛してそうだったぞ。」
安堵する2人とは対照的に美雨の表情は浮かない。
「ううん。
ミケは飼い猫だけど赤ちゃんまで飼ってくれるか分からない。」
「お前、それを心配してたのか。
俺からも頼んでやるよ。
もし飼えないって言われたら里親を探せばいい。」
寂しげな美雨の表情が昨日の涙の跡が残る寝顔とダブって見えて思わず腕の中に引き寄せて頭を撫でてやった。
「なんだよ。見せつけんなよ。」
「な…そんなんじゃねーよ。」
小学生に冷やかされるなんて俺も終わりだな。
苦々しく思いながら、男の子の学校が終わってから平井さんの所に連れて行くことを約束して別れた。
思わず抱き寄せた美雨をもちろん引き離して。
それなのに美雨は嬉しそうに顔をほころばせている。
「やっぱりワンちゃんいい人。」
いい人…ね。
美雨のことがほんの少しだけ分かったような分からないような犬飼だったが、美雨といると飽きないかもな。そんなことを思っていた。

