……。

「……っ、…ひっく…ッ。」

なんでだろう?
助かったのに、涙が溢れて止まらない。

怖かったから?
安心、したから?

……っ…違う。


「……将馬じゃなくて、ごめんね?」

涼さんが、私の頭に手を置いて、そう言った。
返事をする事も、首を振る事も出来なくて…。
ただ…泣く事しか出来ない私の手を優しく握ってくれて、「帰ろう。」って、ゆっくり手を引いて歩いてくれた。

……。

私は、最低だ。
目の前の涼さんを見る事もなく…。
この手が、助けに来てくれたのが…。
”どうして、将ちゃんじゃないんだろう”って、まだ期待して…。捜していた。

……
………。