「っ…将、ちゃん…ッ。
将ちゃーーーんッ……!!」

力一杯叫んだ瞬間。
「ぐあッ!」と言う声と同時に、私の腕を押さえ付けていた力が…。フッと抜けた。

……。
恐る恐る目を開けると…。
ボヤける視野に、私を守るように立っている男の人の背中。

……。
でも、その背中は…。
将ちゃんじゃ、なかった。


「彼女に触んなッ…!!」

そう強く、酔っ払いの男性達に言ってくれたのは涼さん。

私の知ってる優しい雰囲気からは想像出来ないくらいに、男らしい顔付きで…。
絶対に人なんて殴らないような人なのに、私を守る為に…立ち向かってくれていた。

……。
それなのに、私は…。
私の目も、心も、他を…見ていた。


「っ…里奈ちゃん!大丈夫ッ…?!」

涼さんに続いて、駆け付けてくれたのは智樹さん達。

酔っ払いの男性達は、私を捜しに来てくれたみんなのお陰ですぐに逃げて行った。