「大学の友達にさ、うっかり彼女がいるって言っちゃったんだよ。
…そしたら、夏休みにカップルで遊ぼうって話が出ちゃって……。」

呆然としている私に、彼は申し訳なさそうに頭を掻きながらチラチラと様子を伺うように視線を送ってくる。


「…そ、そんなのっ……。
いきなり、言われても……っ。」

私はようやく口を開いて呟くと、膝の上でギュッと手を握って俯いた。
その反応を見て、彼は「だよな〜。」と溜め息混じりに言う。


心の中では素直に言おう。
私は彼、将ちゃんが大好きだ。
幼い頃はただ無邪気に後ろを付いて回っていたが、いつの間にか…。本当にいつ恋をしたのか分からないくらいに、大好きな人になっていた。

ヤンチャで口が悪いけど、いざって時は優しくて頼り甲斐がある将ちゃん。
昔は同級生の男の子達よりも背が低くて小さかったのに、中学に上がってバスケット部に入ってからみるみる内に身長が伸びて体型も男らしくなった。