「あ、あ〜…その…。じゃあさ、明日のデートはショッピングにするか?
一緒に選んでやるから、気に入った服があったらその場で買って着替えればいいだろ?」

なんとか冷静を装って年上の男らしい返事を返すと、少し間があって…。里奈は感動した口調で声を弾ませた。


『それ、いいね!うんっ、そうする!』

「決まりだな。
じゃ、明日11時に迎えに行くからな。寝坊するんじゃねぇぞ?」

『大丈夫だも〜ん!
昔からいつも寝坊助なのは将ちゃんでしょ?』

すっかり機嫌が戻って、里奈は明るい声で笑っている。
俺の大好きな、元気な彼女。


『おやすみ、将ちゃん。』

「ああ、おやすみ。」

電話を切って耳から離すと、俺はそのままスマホを握り締めてベッドにバフンッと寝転んだ。
幸せで幸せで表情が緩む。


期間限定の恋人という複雑な関係の俺達だけど、今はこれでいい。
ここから始めればいい。

こうして俺達は、ただの幼馴染みから一歩歩き出した。