気付いたら俺は涼達の元から駆け出して…。
ステージのすぐ傍まで行って、里奈の名前を叫ぶように呼んでた。


弱かったのは、いつだって俺の方だった。
強がって、卑屈になって、甘えてた。

こんな俺を、今でも里奈が好きだと言ってくれるなら…。
俺も素直な気持ちを、吐き出そう。


「っ…俺も好きだぁーーーッ!!
俺はっ…お前が好きだぁーーーッ!!!!」

余計な気持ちは全部取っ払って、16年分の想いを叫んで、里奈を見たら…。
振り向いて驚いた表情をしていた彼女は、顔を真っ赤にして微笑んで…。
俺の真上のステージに駆けてきた。

もう離したくなくて、今すぐ抱き締めたくて、俺が下で両手を広げると…。
里奈は迷わずステージから飛び降りて、俺の腕の中に飛び込んできてくれた。

辺りからはすごい拍手と歓声が聞こえるけど、もう気にしない。
周りの事なんて、人の目なんて恐れない。