「っ……。」

目を閉じると、大粒の涙がポタポタ落ちていく。
この涙さえも、愛の形なんだと…。
将ちゃんの前で、将ちゃんの事で溢れ出す涙さえも…。大切な想いなのだと気付く。


言いたい事はたくさんあったのに…。
もう、全然言葉が出てこなくて…。
スタンドマイクを握り締めたまま、俯く私。

すると…。
シーンとしてしまった辺りの雰囲気を取り戻すように、司会者が後紹介を軽くして、私達のグループにステージ上から撤収するように促す。

傍に来てくれた清香ちゃんに声を掛けられて、俯いて涙を手で拭いながらステージを去ろうと、足を踏み出した時…。


「里奈ぁーーーッ!!!!」

私を呼び止める、大好きな声。
私の名前を呼ぶ、将ちゃんの声。

振り返ると…。
高いステージのすぐ下で、息を切らした将ちゃんが、私を見上げていた。