『そして、もしも…。
もしも、私の気持ちが将ちゃんにちゃんと伝わったら…。その時は……。』

……。

「お!将馬、始まるぞ!」

LINEの最後の文を見て固まっていると、智樹が俺の背中を叩いて声をかけてくれた。

ハッとして顔を上げた俺の目に映るのは…。
たくさんの拍手に迎えられてステージに立つ、里奈。

久し振りに見る彼女の姿に、胸が暖かい鼓動を立て始めて…。感じた。
俺はまだ、こんなにも里奈が大好きなんだと…。


里奈はみんなとステージにスタンバイし、曲紹介をする為に、中心にあるマイクの前に立つけど…。
なかなか話し始めず、何かを捜すように目を泳がせていた。


「っ……。」

その姿に、”俺を捜してる”と勘付きながらも。
あの日の出来事が邪魔して、俺は里奈に声を掛けてやる事が出来ずにいる。