父さんのせいで貴重な時間が無くなった。

ってかこんど合鍵壊しとこう。

「菜穂。ごめん遅くなった。」

「あ!直也!やっと弾けるようになったよ!ラフマニノフ!」

菜穂は子供のようにはしゃいでいた。

「よかった。じゃあ音合わせしようか。」

そして音合わせを始める。

久しぶりのこの感じ。

俺がピアノを弾いてその隣でヴァイオリンの音が響く。

まだ不慣れだからか違和感はあるものの約1ヶ月でこの曲を覚えたんだ。

やっぱり体が覚えているんだ。

最後の音まで止まらずに流していけた。

「菜穂。上手くなった。」

「よかった!ちゃんと音が合ってた…!」

「1ヶ月でよく頑張ったね。」

「うん!ありがとう。」

菜穂は笑顔で話してくれた。

よかった。

また色んな曲が弾けるようになりそう。

コンサートが…すげー楽しみ。