北川第二病院は、家から徒歩10分のところにあったのが不幸中の幸いだった。
家を出た瞬間、
人目も気にせずに、私は無我夢中で病院を目指し走った。
ただただ、必死に走った。
道路に出ると、
思ったよりも車が多く、横断歩道を待たなければならない状況であった。
(おそい...おそい、おそい...)
週末前の7時。ちょうど帰宅ラッシュなんだろう、
沢山の車たちが、私が進むこと阻んでいるように思えた。
横断歩道の前で立ち止まり、信号が青になるのを待つ間。
その間は、まるでスローモーションのように、とても遅く感じられた。


