内心、とてもがっかりしたが、出ないわけにはいかないので、仕方なく電話を取る。 「はい。日和(ひより)です。こんばんは。」 そう彼のお母さんに定型文のような挨拶をしようとしたその時、 「大変なの!!武(たける)が...!武が事故にあったの!!!!」 耳を当てなくても、 わかるくらいに、 切羽が詰まっていて、なおかつ悲痛に、 だけれど、それとは裏腹にはっきりと。 彼女はそう言った。