銀色の月は太陽の隣で笑う


ペンとノートを交互に見て、なるほどと納得したルウンは、ノートの間にペンを挟んで閉じ、その横に口を広げたままで置かれていたバッグと一緒に、枕元へと移動させる。

足元が広くなって、きっとトーマも寝やすいはずだと満足げに頷き、また足音を忍ばせて階段へと向かう。

その途中でふと思い直して足を止めたルウンは、振り返って部屋の奥にある机をしばらく見つめると、そうっと進行方向を変えた。

偉い作家の気分なんて自分には分かりようもないのだけれど、そこに座っている時のトーマがあまりにも嬉しそうだったから、つい興味が惹かれてしまったのだ。

背もたれに掘り細工が施された椅子をそっと引いて、そこにちょこんと腰掛ける。

やっぱり、トーマが言うような気分はよく分からない。

でも、座り心地のいい椅子だとは思った。

立ち上がって階段に向かう途中、もう一度ベッドに近づいて、トーマの寝顔を覗き込む。

規則正しい呼吸音、屋根を叩く雨の音。全てが穏やかで、思わずホッとしてしまう。

いつかはいなくなってしまうけれど、今は確かにここにいる。

それを噛み締めるようにトーマの寝顔を見つめながら、ルウンは立ち上がることも忘れて、しばらくベッド脇に膝をついていた。





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