それ以上は何も聞こえてこなかったけれど、先ほど聞こえたのは何かが落ちるような音だったので、気になってそっと足を踏み出す。
自然と足音を忍ばせるようにして階段を上っている自分は、まるで泥棒のようだと思った。
体重の軽さが幸いして、階段もそれほど大きな音を立てはしないが、時折ギシッと軋むたび、尚更歩みがゆっくりになる。
最後の数段を残して様子を窺うようにひょっこりと顔を覗かせた時、薄暗い部屋の中に動くものはなかった。
そのままの状態でぐるりと部屋の中を見渡すと、ベッドの上に確かな膨らみがあって、目を凝らせばそれは上下に規則正しく動いている。
そろりそろりと残りの階段を上がり、先ほどよりもっと音に注意しながら、ルウンはベッドへと近づいていく。
その途中で、靴底が何かを踏みしめた。
慌てて足を上げて見てみると、そこにはペンが転がっていた。
拾い上げてよくよく見れば、トーマがいつも使っているものであると分かる。
ベッドの方に視線を移せば、暗闇になれた目に、広げっぱなしのノートが映った。



