パラパラと捲られていく中の紙も、すっかり黄ばんでいたり、シミがついていたり、端がちぎれているものもある。

それをぼんやりと見つめながら、少女は再びパンをちぎって口に運ぶ。

やがてトーマは、まっさらなページを開いて手を止めた。


「どんなことを質問しようか、書き留めたつもりだったんだけど……。どうやら、自分の想像を残すことに夢中になって、忘れていたみたいだ」


ははっと笑って、「そういうわけだから、ちょっとだけ待ってね。すぐに考えるから」とトーマが言う。

少女はコクっと頷いて、またパンを食べる。

ふかふかのパンと一緒に木の実をカリッと齧れば、香ばしさが口の中に広がった。


「ええっと、そうだな……」


迷うように呟きながら、トーマは万年筆のお尻でガリガリと頭をかく。


「聞きたいことはたくさんあるんだけど、まずは何から始めたらいいか……」


どうにも決めかねている様子のトーマを眺めながら、少女はお茶を啜る。

チラッとバスケットに視線を移せば、残りパンは一つ。

手を伸ばそうかどうしようか迷いながらカップの中身をちびちび飲んでいると、突然トーマが「ああ!」と声を上げた。