銀色の月は太陽の隣で笑う


薄暗がりの中を彷徨うように歩いて、ルウンは窓辺に向かった。

月明かりが、庭を明るく照らしている。星も出ているようだから、きっと明日もよく晴れるだろう。

雨季は、本当に終わってしまったのだ。

これからは外でお茶ができるし、洗濯物も干せる。でももうそこに、トーマの姿はない。

いつになく明るく照らされた庭を眺めながら、こみ上げそうになるものを何とか押し込める。

泣いてはいけない。泣いたら、止まらなくなるから。

テーブルと椅子は傷んではいないだろうか。もし森の木が倒れたりして道を塞いでいたら行商人はここまで来てくれないから、明日辺り見に行ってみよう。

あれやこれやと考えて、無理矢理に別のことで頭をいっぱいにする。

それなのに、庭を眺めていた視線が、ある一点で止まった。止まってしまった。

そこは、雨季が始まるまでの間のトーマの定位置。

いつも彼はそこで、空を見上げて寝転んだり、真剣な顔で洋館を見上げていたり、ノートに視線を落として熱心にペンを動かしたりしていた。