銀色の月は太陽の隣で笑う


薄らと意識が浮上した時、ルウンは顔に淡い光を感じた。

その光に誘われるように目を開けてみれば、柔らかい月明かりが窓から差し込んでいる。

ルウンは、目をこすりながら体を起こした。

見回せばそこは自分の部屋ではなくトーマの部屋で、なぜここで眠っているのかを考える。

しばらくすると、全てを思い出して一気に目が覚めた。

急いでベッドから下りると、足の裏につるりとした感触があって、気がついた時には既に床にお尻を打ち付けていた。


「いたっ……」


痛む箇所をさすりながら、ひらりと舞い上がったものを目で追いかける。

ふわふわと宙を舞って床に落ちたそれに手を伸ばして拾い上げると、すっかりくしゃくしゃになった紙を持って立ち上がる。

踏み外さないように慎重に、でも素早く階段を下りると、部屋の中をぐるりと見渡した。

やはり、どこにもトーマの姿はない。

テーブルを見れば、手つかずのサンドイッチと空のカップが、自分が残していった時のままで置いてある。