酔っ払って漏らした言葉は、約束と呼ぶには少し頼りないけれど、いつか本当に、連れて行ってあげたいとトーマは思った。

その白銀の髪は、きっと故郷の美しい川の流れによく映える。

青みがかった銀色の瞳は、キラキラと好奇心いっぱいに輝いて、澄み切った青い空を見上げるのだろう。

故郷の懐かしい景色の中に、ルウンが立っている光景を思い浮かべて、トーマは微笑む。

すると突然、フラフラと左右に揺れていたルウンの頭がピタリと動きを止め、次いでコテンと左に倒れた。


「ル、ルン!?」


突然のことに、我に返ったトーマは具合でも悪くなったのかと慌てる。

そんなトーマを、ルウンは見るともなしにぼんやりと見つめた。

そのぼんやりとした視線と、体調を窺おうとするトーマの視線が絡み合って、二人はしばらく無言で見つめ合う。
ほどなくして、ルウンはふにゃんと笑って左に倒れていた頭を起こすと


「とうまー!」

「うわっ!?」


なんの前触れもなく、トーマに飛びつくようにして抱きついた。