「……トウマ?」
明らかに途中でピタッと話すのをやめたトーマに、ルウンは疑問符をいっぱいに浮かべた視線を向ける。
その視線の先でトーマは、ほんの少し意地悪な笑みを浮かべていた。
「今日はね、ここまでだよ」
ルウンの目が、驚きで見開かれる。
ここでようやくトーマは、お話を始める前に密かに胸に秘めておいたことを告げた。
「続きは明日また、ご飯の後でね」
途端にルウンの表情が変わる。
トーマが密かに考えていた作戦は、ルウンにとって大変好ましくなかったことがその表情から窺えた。
それでも、ここは譲れない。全ては、一日でも早くルウンに元気になってもらうため。
不機嫌そうに膨れるルウンに苦笑しつつ、トーマはお盆を手に立ち上がった。
「それじゃあ、僕はこれを片付けてくるよ。あっ、何か欲しいものはある?」
むっつりと膨れたまま、それでも首を横に振ったルウンは、不機嫌そうな表情のままにトーマを見やる。
「……戻って、くる?」
頷かないわけには、いかなかった。
「片付け終わったらすぐにね」
見送る視線を背中に感じながら、トーマは寝室をあとにする。相変わらず、心臓が強く早いリズムで脈打っていた。
作る手際は悪くとも、片付けとなればまた違うトーマは、手早く後片付けを終えて寝室に戻る。
ルウンが眠っているようだったらそのまま入らずにおこうと、出入口から顔を出して覗いて見ると、ジッと見つめる青みがかった銀色の瞳と目が合った。



