そんな時間を堪能しつつ、トーマはさり気なくルウンの様子を伺った。
先ほどくしゃみをしていたこともそうだが、その前、キッチンから出て寝室に向かう際、その体が大きく震えていたことをトーマは知っている。
「ルン」
呼びかけると、お菓子を口で咥えたままの状態で、ルウンがすぐさま顔を上げた。
少し頬が赤いような気がするのは、ショウガ入りのお茶で温まったからなのか。
「体、平気?あっ、いや。何もついてないよ、大丈夫。そうじゃなくて、調子が悪いところとかはない?頭が痛いとか、喉が痛いとか、体が怠いとか」
声をかけた途端口元を気にするのは、きっと以前のジャムのせい。慌てた様子が可愛らしくて思わず笑ってしまってから、トーマは話を元に戻す。
口に咥えたお菓子を離してから、頭や喉を触ってみたルウンは、ふるふると首を横に振った。
触診で分かるとも思えないが、ルウンは至って真面目な様子だったので、トーマも何も言わずにおく。
なんともないと答えるルウンだが、その頬がやはり普段より赤い気がするのは、ショウガのおかげで体が温まっているからのか。



